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だんごやすみ
だんごやすみ

 すこうし昔、京都の南の加茂の里に病がはやったことがあった。春の終わりの、蒸し暑い日の続くころやった。はじめは幼い子どもが、はら痛をおこし、熱を出して苦しんでおったが、やがて大人にも広がり、大勢の人が具合悪うなって病院に運ばれたのや。
 田植えも間近く、病人の出た家では働き手が減って困ってしもうた。村人は助け合うてどうにか、こうにか田植えをすませた。
 なんでそんな病がはやったのか、病院で調べはった。そうしたら、近所からもろうて食べただんごが原因とわかったのや。
 そのころ、だんごはごちそうで、だんごを作ると隣近所に配ったものや。ところが、日のたったものを知らんと食べたり、味の悪うなったものでも、もったいないと食べたのが、原因やった。喜んでもらおうとだんごを配った人も、もらっただんごを食べて病になった人も、たいそういやな思いをしたそうや。
 そこで、村の人たちは集まって相談した。
「だんごを作って、自分の家だけで食べるのはいやや」
「よもぎのぎょうさん入っただんごは食べたい」
「ええ方法はないものかなあ」
と、あれこれ言い合っておったが、良い考えが浮かんでこないのや。
すると、すみっこに座っていたじいさまが、「みんなで同じ日にだんごを作ったらどうや。そしたら隣近所に配らんでも、おいしいだんご、どっさり食べられるがな」
 と、ぼそぼそと言うたのや。
「そうや。ええ方法や。そうしたら遠慮しんと、だんごが食べられる」
と、みんな手をたたいて喜んだ。
 相談の末、四月二十五日を『だんごやすみ』にして、仕事を休んでだんごを作って食べることにした。間もなく始まる田植え前の元気づけにだんごをどっさり食べて、一日ゆっくり身体を休めて力をつけたのや。
 今でも、この日は、だんごを食べたい人は家でだんごを作って食べる。でもな、どんなにおいしいだんごを作っても、けっして隣近所には配ったりしないんや。


「だんごやすみ」は地域の風習と結び付いたとても貴重なお話です。
また近所付き合いのありかたも教えてくれているようで、村人たちのあたたかい心が伝わってきます。


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